イヤパッドのヘタレによる音質の変化

(2012/5/13新規追加)

山米舛(udauda)さんのBlogサイトでHD650のエージングに関する大層面白い測定結果があります。
"The effect of break-in: Sennheiser HD650"

たまたま自分もイヤパッドを交換しようかとしておりましたので、
イヤパッドのヘタレによる影響についての部分を測定してみました。
要するに二番煎じであります。


【写真1】新品イヤパット(左)と、使い古しのイヤパッド(右)の状態

数年使った古いイヤパッドは、厚みが全体に薄く、かつ不均一になっている感じです。
新しいイヤパッドはしっかり幾何学的な楕円形を保っている。



【グラフ1】新品イヤパッドと、使い古しのイヤパッドによる周波数特性の差
(バイノーラルマイクSP-TFB-2H を自分の耳に装着して測定しARTAでFFTを行った)

ある程度使い込んだイヤパッドは、耳とのフィット向上によるドライバ距離や空気漏れの減少による低域〜中域の音圧増加が3〜4dB程もあるようです。
設計ではどの程度ヘタレたイヤパッドの状態の特性がベストになるようにしているのか?は不明ですが、
HD650についてはイヤパッドを使い込むに従って、どちらかと言えば低音に寄った傾向になりがちということのようです。

先の山米舛さんの測定によれば・・
新品イヤパットでの周波数応答の方が、ITU-R BS.708("DETERMINATION OF THE ELECTRO-ACOUSTICAL PROPERTIES OF STUDIO MONITOR HEADPHONES")のANNEX I/IIその他で定められた、頭内定位が少なく、より自然な音質であることが見込めるdiffuse-field frequency response(拡散音場)に近いようです。
 (当然ながら「だから新品のイヤパッドの方が絶対に音が良い!」・・・というわけではありません。好みの問題です。)
 



ここで「エージング」との関連について考えてみると、
ドライバー自身では、これほど広い帯域で3〜4dBもの大きな音圧変化は考えにくいことから、
山米舛(udauda)さんのサイトの記述のとおり、
HD650のエージングの主たる要因はイヤパッドの劣化による可能性が高いように思いまする。


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