俺メモ2010
(2010/5/4新規作成)

忘れやすい俺のため、ヘッドホンや音に関係して、調べた内容などを適宜メモ書き追加。
間違いは沢山あると思われますので、要注意だ!
(心のやさしい紳士淑女の皆さまにおかれましては、間違いを見つけてもにっこり・やんわりとご指摘くださいね)

なるだけ、1次ソース(殆どが論文)、だめなら2次ソースの順に内容を適当にナナメ読みしてそれなりに解釈するよう努力はしていますが、
時間やお金や気力やおつむなど様々な原因により、色々とダメダメなことも多いかと思いますが、ご容赦ください。

目次

可聴帯域

the missing 6dB effect
ハイパー・ソニック効果
 



【ハイパー・ソニック効果】
一般的には人間の耳では聴こえないとされる、20kHz以上の超音波にも何か効用があるかもしれない、という主張。
22kHz以上100KHz以下の帯域(超音波!)を音源に追加してスピーカーから再生することで、以下のような効果が観測されたとのこと。[1]
 ・EEG(electroencephalogram:脳波電位)の測定により、α波の増加が観測された。
 ・PETやMRIの測定により、脳の血流増加が観測された。
上記の効果は「ラウドスピーカー」により、
体表面への超音波の放出がハイパー・ソニック効果の出現条件である、とのことであり、
超音波を聴覚として知覚しているというよりも、むしろ
皮膚への超音波による刺激として感じている(?)ものと思われますね。
したがって、
残念ながらヘッドホンではハイパー・ソニック効果は期待出来そうにないようにも思われ・・。どうなんでしょ?僕は分かりませんね。

<参考文献>
(pdfで論文が閲覧が出来るようです。ありがたや。)
[1]Tsutomu Oohashi, Emi Nishina, Manabu Honda, Yoshiharu Yonekura, Yoshitaka Fuwamoto,Norie Kawai, Tadao Maekawa, Satoshi Nakamura, Hidenao Fukuyama, and Hiroshi Shibasaki,
 Inaudible High-Frequency Sounds Affect Brain Activity: Hypersonic Effect, Jurnal of Neurophysiology,83, pp.3548-3558, 2000.


【可聴帯域】
一般に、人が聴くことの出来る周波数帯域は20Hz〜20kHzの範囲とされており、これを可聴域、可聴帯域、オーディオ帯域などと色々に呼んでいる。
オーディオ関連製品の各スペックも、この可聴帯域をベースに測定されていることが多い。

しかし、そうは行っても個々人で聴こえる周波数の範囲は以下のように様々で、20Hz〜20kHzの範囲は固定的なものではない。

高い周波数の感度は、加齢(老人性難聴)や、どの程度の騒音下で生活していたか(経年騒音暴露)などによって個人差が非常に大きい。
また20kHzまで聴こえるのは子供までで、大人は15kHz程度で急激に感度の低下が見られるのが普通。

一方
低音については、はっきりした聴こえる限界というものがなく、感度はなだらかに数Hzまでつながっている。
(2Hzという超低音さえ知覚可能との驚くべき報告もあり(
B. BERGLUND, P. HASSMEN and R. F. S. JOB,(1994))。とはいえ3Hzではしきい値は120dB SPLまで達する、とのこと(Whitte (1972)))。
よって20Hzでスッパリと聴こえなくなるわけではないが、16Hz以下の超低域(低周波)では、中耳の非線形歪み(高調波歪み)によって検知している可能性もあるとのこと(Johnson/Gierke(1972))。


【the missing 6dB effect】
低音の再生について、ヘッドホンでラウドスピーカーと同等な音の大きさ(ラウドネス、人間が感じる音の強さ)を得ようとすると、物理的には音圧レベル(SPL)を最大10dBも余計に必要としてしまう効果あるいは問題。
特に300Hz以下の低音で顕著

「このイヤホン(ヘッドホン)、周波数特性グラフでは低音フラットに出ているんだけど、なんか低音全然物足りないぜ・・・。なぜなんだいハニー?」
・・という現象のことです。

頭内定位(inside the head localization)と並んで、
ラウドスピーカーとヘッドホンの間に大きな違いを感じる音質的なキャラクターのひとつで、非常に古くから(1933年!)[1][2]指摘されている有名な効果。
(「そんなら"missing 10dB effect"じゃん?」という突っ込みは・・・アリw。)

発生の原因については以下のように幾つかの説明がなされているようです。

1.生理的雑音(psysiological noise)と閉塞効果(occlusion effect):
ヘッドホンで耳をふさぐと閉塞効果により、呼吸、血流、筋肉の収縮などから生ずる生理的雑音が耳道内で増幅される。この生体雑音によるマスクのため、ヘッドホンから出力された低音の最小可聴値を引き上げて、低音を聴き取り難くしてしまうことが考
えられる。[2]。
加えて骨伝導によって外部から受ける音や振動も、同様に耳道内で増幅される。
しかしながら、最小可聴値を大きく超える(生理的雑音レベルも大きく超える)音圧レベルについては、生理的雑音によるマスクだけでは説明が苦しいのでは、という点は指摘されている。[4]

2.ラウドスピーカーやヘッドホンの刺激レベルの不適切な算定

3.機械的な振動による低音の身体知覚(somatosensory perception, bone conduction)
  ・・・(そいえば「ボディソニック」なんつーのもありましたね。)

4.遠くにあるラウドスピーカーを目にした際に生ずる心理効果(SLD effect:Similar sound level divergence effect[7])

・・・・等々が挙げられております。[4][5][6][7]

「missing 6dB」はこれらの要因の複合的な産物である可能性があり、加えて聴覚器官や頭による回折状態の個人差や、心理的な「逆フィルタ」特性の個人差も存在するため事態は非常に複雑であり、依然として完全には説明出来ていない現象と言える

ように思う。・・・いや俺がそう思ってるだけかもしれませんが。

「実験結果によれば、生理的な雑音効果以外には、(物理的には)何の証拠も見つからない」[5]という見解が正しければ、原因は、生理的雑音と心理的な効果だけによるもののようにも思えるんですが・・・。オイラには結局良くわからんですたい。

なお、
「聴覚心理学概論」/B.C.J.ムーア著では、このmissing 6dB効果の原因は「外耳道内に生じる血管からの生理的雑音であることが多くの研究者たちによって明らかにされている。(Anderson and Whittle,1971;Soderquist and Lindsey,1972)」、と明確に「1.」である旨が記されている。(ほ・・本当でしょうか・・・本当なのかは自分は知りません。)
また、同著では「この低周波の「生理的雑音」は、ヘッドホンからの空気の漏れ(これはヘッドホンにかける圧力にも関係する)、各被験者の外耳道の容積や心拍の強さなどによって変化する。」とあり、
さらに、オープンエア型のヘッドホンならば(密閉型と比べて)、低周波の生理的雑音をかなり減らすことが出来る、との記載あり。


<参考文献>
[1]Sivian, L. J., and White, S. D. "On minimum audible sound fields",J. Acoust. Soc. Am. 4, 288-321.(1933).
[2]Beranek, L. L., "Acoustic Measurements" (Wiley, NewYork), pp. 731-755. (1949).
[3]W. A. Munson and Francis M. Wiener,"In Search of the Missing 6 dB",J. Acoust. Soc. Am. Volume 24, Issue 5, pp. 498-501 (September 1952).
[4] John Borwick,"Loudspeaker and Headphone Handbook, Third Edition",Focal Press, pp.653-654
[5]Rudmose, W.,"The case of missing 6 dB",J. Acoust.Soc.Am., vol.71, no3, pp. 650-659.Austin, (1981).
[6]Mead C. Killon,'Revised estimate of minimum audible pressure:Where is the "missing 6 dB"?',J. Acoust. Soc. Am. Vol.63, no5, pp. 1501-1508,(May 1978).
[7]G.Theile,"On the Standardization of the Frequency Response of High-Quality Studio Headphones",1986


改訂履歴
2010/5/8:【ハイパー・ソニック効果】内の誤記訂正:「EGG」→「EEG」