HiFiMAN HM-602
(2010/11/14新規追加)
(2010/11/14 RMAA結果追加。各部誤字訂正。)


【写真1】外観 (中央がHM-602。 左:HM-801、右:iPhone4)



ユーザーインターフェイスはHM-801譲り(というか殆ど同じ)の残念なものでした。
サイズは頑張って小さくなり、iPhoneくらいになったのか、と思いきや・・


【写真2】HM-602とiPhone4の厚さ比較

やっぱり厚みは全然違うのでした。どよーん。




NOS-DAC(ノン・オーバーサンプリングD/Aコンバータ)採用!という点が特徴とのこと。
普通のDACでやっているオーバーサンプリングをやらないZE!・・・っていう意味が何なのかはさておき


RMAA6.2.3の結果をまず、見てみましょう。

俺RMAA測定方法は、以下の通り。
(1)RMAAで校正データとテスト用wavファイル作成(44.1kHz/16bit)
(2)DAPへwavファイルを転送
(3)16オーム1/4W1%の金被抵抗を負荷抵抗として、レコーダー(SONY PCM-D50)に接続。
(4)校正用ファイルをDAPで再生しつつ、録音レベルが-3〜-1dBに入るようDAPのボリュームを調整。(PCM-D50側は録音レベル90に固定)
(5)テスト用wavファイルをDAPで再生しつつ、PCM-D50で録音(44.1kHz/16bitのwavファイルで録音)。
(6)録音したwavファイルをPCに転送し、RMAAで解析して結果を得る。
 

Summary(HM-602)

Frequency response (from 40 Hz to 15 kHz), dB
+0.21, -2.21
Average
Noise level, dB (A)
-84.4
Good
Dynamic range, dB (A)
86.6
Good
THD, %
0.123
Average
THD + Noise, dB (A)
-57.8
Poor
IMD + Noise, %
0.162
Average
Stereo crosstalk, dB
-51.7
Poor
IMD at 10 kHz, %
0.392
Average
General performance
 
Average

特にTHD +NがPoorで、かなり悪い結果。
量子化ノイズを減らせないという点で、やはりオーバーサンプリングしないと不利な様子。
大昔の安価なDACってこんな感じだったのかしらん?全然おいら知識ないですけどね。
それなりに興味深いです。


おまけですが、
HM-801(GameAmp)とiPhone4との、RMAAの比較結果はこちら。


むう・・・やっぱりいかがなものかという気がします。





そんなわけですが、
え〜、念押しの意味も含めまして、お暇な方はARTAで測った以下の分もどうぞ。


【グラフ1】HM-602のインパルス応答(ヘッドホン端子@16Ω負荷時)
測定条件:
Stimuli=48kHz/16bit Pulse signal
DummyLoad=16Ohm(1/4W 1%)
Recorder=SONY PCM-D50 (at 96kHz/16bit)


44.1kHzのパルス信号によるインパルス応答は、リンギングが無い、極めてスッキリとした応答です。

しかし!世の中そうは上手くいきませんぜ。

インパルス応答でリンギングが無い、ということは、
・スローロールオフのLPFを採用、
・あるいはDACのアパーチャ効果による、サンプリングレートに依存した成り行き(?)のローパスフィルタを採用しているという事でありましょう。

さてNOSの問題はここだと自分は思います。
原理的にはノンオーバーサンプリングの場合、アパーチャ効果により周波数応答はフラットにならない。
逆特性で補正を掛ければフラットになるでしょうが、それこそNOSで標榜している(?)「余計な処理をしない」ことに反してしまい本末転倒でしょう。
結局NOS採用の結果として、周波数特性フラットは達成出来ないことが明らかではないかと思います。
「周波数特性フラットとか、別に必要ないから」って人向けとなってしまいます。

(アパーチャ補正については、掲示板でのアトムさんの書き込みが大変参考になりました。感謝!)

よって、インパルス応答は一見綺麗だけれども、周波数領域ではそうはいかないぜ?・・ってことが予想されます。



【グラフ2】HM-602の周波数/位相応答(ヘッドホン端子@16Ω負荷時)
 ※測定条件は【グラフ1】と同じ

はい、見事にスローロールオフのLPFとなっていますね。HM-801と傾向は似ています。
20kHzでおおよそ-4.5dB程振幅が低下。15kHzで-2.5dB、10kHzでも-1.0dBの低下です。
振幅応答のフラットさを望む人には好ましくはないことでしょう。
また、グラフのとおり1/2fs=22.05kHz以上についてきちんとカットしておらず、

折り返しノイズ(エイリアシング)に対する考慮は完全ではないことになる。・・・が聴覚上問題になるのかは不明。
一方、位相についてはフラットな様子。



最後に出力インピーダンス。

【グラフ3】HM-602のヘッドホン端子の出力インピーダンス
測定条件:CLIOWINfw ver.8.2.3 (stimuli=LogChirp 16k)

出力インピーダンスは11.4Ω程度でした。HM-801の16Ωよりは若干低下していますが、
昨今の他のDAP(iPodやX1000シリーズ等)と比べると、正直なところ見劣りしてしまう数値です。
マルチドライバーのBA型を使う方は注意が必要ではないかと思います。


【HM-602の俺感想&まとめ】

なんだか、よくわかりません。(笑)


そもそもノンオーバーサンプリングDACは、出来るだけ余計な処理をしないで信号の鮮度?を維持しよう、
っていう事のようにおもうのですが(違うかな?)、やっぱり上手く行かない点があり、
そいつは周波数特性という基本的な項目である)・・ってことですな。

そいつを認識しつつニヤニヤと楽しむもののように思います。



<良い点>
・ 時間応答のインパルス応答でリンギングが極めて少ない。
  しかし、そもそもリンギングは聴覚上問題になるのか?不明。
  (おそらく問題になる場面は極めて限定的と思います。)
・ 位相は高域までフラットで問題なし。

<悪い点>
 ・周波数応答がフラットではない(15kHzで-2.5dB程度の低下)。これは問題とする人はいそうな気がします。
 ・S/Nが悪い様子あり。NOSですから、ある程度仕方なさそうですけれど、低インピーダンス&感度の良いイヤホンでは要注意かも。
 ・出力インピーダンスが11Ω程度と比較的高い。依然としてBA型のイヤホンでは相性が発生しやすいものと推測します。



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