位相を回して違いを聴いてみよう
(2011年4月30日)
0.はじめに
「オーディオの科学」のBBSと、そこに紹介されていたサイトのコンテンツ「耳を疑う回路」にインスパイヤー!されまして、
「人間の耳は位相の回転に鈍感である」ということは本当なのか?
確かめてみるために、 聴き比べ用のテストファイルを作ってみました。
(なお、回路を組むのは面倒そうなので、市販のDAWなどにある畳み込み機能を使って試してみました。)
1.高域の位相回転 聴き比べファイル(wavファイル)
!! 音量注意 !!
聴き比べ用のファイル | |
(A)高域の位相回転なし→ | A_FIR_Bessel6th_14sec_256k_Shubert.wav |
(B)高域で結構派手に位相回転あり→ (10kHzで90度、15kHzで180度程回転) |
B_IIR_Bessel6th_14sec_256k_Shubert.wav |
※なお、ファイルの頭でプチっというノイズがありますが、畳み込みが出来ているか確認用のパルス信号ですのでお気になさらないでください。
・・・聴き比べた結果、自分の結論としては、「かなり(自分)鈍感なようですね」という感想ですが、
皆様におかれましては聴き比べた結果、如何でありましょうか。
2.ファイルの作成方法について
【使用した楽曲ファイル】
Webサイト「Public Domain Archive」の、以下のアルバムデータから、一部を切り出して使用しました。
http://public-domain-archive.com/classic/download.php?lang=eng&album_no=621
元データは形式は256kbpsのmp3形式で、周波数成分は以下の通りでした。
19kHzを少し超えたあたりまで、スペクトルはありますので、テストに使うには問題ないものと判断しました。
【ファイルの加工】
・以下の2種類のインパルス応答ファイル(A)(B)を作成して、DAWソフト「FL STUDIO 9」にて楽曲ファイルに対して畳み込みをしました。
【使用したインパルス応答】
(A)位相が回らない(直線位相)の6次のベッセル・フィルター(FIR)に相当するインパルス応答 ※カットオフ17kHz
(B)高域で位相が回る6次のベッセル・フィルター(IIR)に相当するインパルス応答。※カットオフ17kHz
ご覧のとおり、インパルス応答(A)は左右対称の形ですので位相は回転しません。
一方、インパルス応答(B)は形が非対象であり、高域の位相がどんどん遅れてしまう特性であることがわかります。
インパルス応答波形 | ゲイン・位相特性 | ||
(A) | |||
(B) | |||
なお、確認のためフィルター設計ツール(?)「WinFilter」で、インパルス応答(B)の特性を表示させてみました。(下図)
「Phase Response」を見ると、10kHzで90度程度、15kHzで180度程位相が回って(遅れて)いることが分かるかと思います。
結構回ってるでしょ?
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