年末カゲマン祭り(旧年末ポタアンひとり祭り)

(2009/12/31初版)
(2010/1/9 iBassoT4追加)
(2010/1/17 iBassoT3追加)

恐ろしいことに、もう大晦日です。
年々早くなんなあ・・・

そんなことはどうでも良いとして


<今年の俺ヘッドホン関係3大トピックス>
・今年ヘッドホン関係で一番うれしかったこと:VA-2230A購入。(測定器じゃん)
・今年最も謎だったこと〜:ファイナ・・
・今年普通に良かったこと:SHUREのオーバーヘッドとかよかったね。うん。まあ毎年同じようなこと言ってるだけだけど。決定打が無いことの裏返しですな。
 


あ。これもドーでもいいですね。

本題!。RaySamuelsAudioのSHADOWが届きましたので、オーディオアナライザの肩慣らしも兼ねて、いくつか手持ちのポタアンと一緒に測ってみましょう。

まずは方形波と、歪み率なんかがよろしいかなと。


【写真1】大きさ比較

iPhoneと大きさ比べ。
真ん中手前のがRSAのSHADOWです。奥がFiiOのE5。
右がそれなりに愛用のRSAのP-51で文字が既にハゲハゲでみっともない感じ。
SHADOWの大きさはFiiO E5とP-51の中間くらいっすかね。



SHADOW。チイサくていいわあ。
俺、この測定終わったら、SHADOW用のケーブル作るんだ。

フラグも立てたし、早速カゲマン他測定。

【測定結果】

  方形波応答出力波形(1Vpp出力/ダミーロード16Ω) 
※入力信号の波形はコチラ
10Hz/1kHz/100kHz 
測定方法:
・信号源=TEXIO AG-253E
・観測=オシロスコープSDS200A+250MHzプローブ使用
歪み率(THD+N、THD)

測定方法:
・信号源&観測=オーディオアナライザ TEXIO VA-2230A
 信号源に1kHzスポット発信2を用い、
 これを-60dBから0dBまで4dB刻みで変化させて使用。
 入力は非平衡100kOhm使用。測定値のアベレージングは16回を使用。
 対象ポータブルヘッドホンのアンプのボリューム位置は最大に固定。
 ダミーロードは16Ωの1/4W金属皮膜抵抗。
 ただしTHD+Nのみ比較のため無負荷時も測定。
出力インピーダンス 周波数応答
(16Ωダミーロード/-10dBV出力時/stimuli=MLS 256k)
FiiO
E5


F特は低域が十分にフラットとは言いがたい感じ。高域はそれなりに良さそう。
1kHzの応答から、低域の-3dB降下点は40Hz前後(fc=0.39*1000*0.05/0.5程度)、26Hz前後(fc=0.39*1000*0.03/0.5程度)
100kHz応答から、高域の-3dB降下点は120kHz前後と思われ(立ち上がり3μsecくらいなので、fc=0.35/3*E6)、っていうか実際2dBくらい低下してますがな。
16Ω負荷でTHDが0.01%程度と、まあまあな感じかしらん。
出力にもそれなりに余裕あり悪くはないかも。
出力インピーダンスは0.15Ω程度と良好。
(CLIOの測定誤差は0.1Ω程度はあるものと思われ。)
audio technica
AT-HPA10
AT-PHA10


高域があまり伸びてませんね。スペックどおり50kHzくらいで-3dBか。
低域についてはそれなりには伸びており、(10Hzの波形は片側なんだかクリップしちゃってますがキニシナイ)10Hzの応答からえーと、-3dB降下は0.39*10*(7.2-1.8)/7.2≒3Hzくらいかな。

16Ω負荷時THDは概ね0.02〜0.05%近辺。取り立てて悪くもないが、なんだか少し寂しい。
FiiO E5より少しTHD/THD+Nともに大きいように見える。
THD+Nについて無負荷時のグラフと重ならないのが面白い。
出力にあまり余裕がなく、16Ω負荷で0.6V(23mW)程度まで。
32.5Ωと出力インピーダンスが高い様子。
イヤホン/ヘッドホンのインピーダンス特性に依存した、音圧の変動がちょっと心配。
RSA
SR-71A


かなり忠実。方形波応答では特に問題なし。1Hz〜1MHzくらいはほぼフラットな様子。 16Ω負荷時THDは0.002〜0.003%くらい。非常に優秀。(据え置きのヘッドホンアンプよりいいかも・・・)
出力も余裕あり(上のグラフはLOWゲイン時)。
出力インピーダンスは0.11Ω程度と良好。
(CLIOの測定誤差は0.1Ω程度はあるものと思われ。)
RSA
P-51


かなり忠実。方形波応答では特に問題なし。1Hz〜1MHzくらいはほぼフラットな様子。 16Ω負荷時THDは0.005〜0.006%あたり。SR-71Aよりは劣るとはいえ、優秀。
出力はLOWゲイン時かつ16Ω負荷で23mW程で、あんまり余裕はない感じ。
(とはいえ大抵のヘッドホンは、LOWのままでもイケるとは思いますけどね。)
出力インピーダンスは0.05Ω程度と良好。
(CLIOの測定誤差は0.1Ω程度はあるものと思われ。)
RSA
SHADOW


それなりに忠実だが、100kHz応答で立ち上がりの遅れ+オーバーシュートっぽい歪みあり。超高域に何かしら緩やかなピークとカットオフがある様子。低域は文句なし。 16Ω負荷時THDは0.04〜0.09%あたり。あまり良くは無い。
出力はP-51のLOWゲインとほぼ同じ感じ。
出力インピーダンスは0.1Ω程度と良好。
(CLIOの測定誤差は0.1Ω程度はあるものと思われ。)
高域でインピーダンスの上昇傾向がある・・・のかしらん?
iBasso
T4


低域は1Hz程度まで良好な様子。
高域は少し難があり、1kHzと100kHzの方形波で比較的派手にオーバーシュート発生。
ただしリンギングっぽくはないので比較的なだらかなピークが100kH以上の超高域にあるものと思われ。個人的になんとなく高域が派手目に感じるのはこのせいなんでしょうか。
16Ω負荷時THDは0.02〜0.03%あたり。それなりに良好。
上はGAINがLOWの時であるが、LOWの場合は出力に余裕がなく、16Ω負荷で0.4V(10mW)以上になると歪みが大きくなってしまい、あんまりよろしくない様子。音量が取りにくいイヤホン/ヘッドホンは素直にGAINをHiに上げた方が良さそうな予感。
出力インピーダンスは0.2Ω程度と良好。
(CLIOの測定誤差は0.1Ω程度はあるものと思われ。)
20kHz以上から高域に緩やかに出力が上昇している様子あり。
BassBoostオンの時には、概ね50Hz以下の低音が4.5dB弱程増加する様子。割と低めの周波数をBoostしている感じですね。重低音の少なめなソースでは少し変化が弱めに感じそうな気もします。
iBasso
T3


かなり忠実。周波数応答の点では1Hz〜1MHzくらいはほぼフラットな様子。
T4よりも20kHz超(超高域ですが)の周波数特性が良いっすね。
16Ω負荷時THDは0.02〜0.03%あたり。それなりに良好。
T4と比較すると若干S/Nが悪い点が気になる・・かな?(THDと比べ、THD+Nの値が大きい)。
出力はT4同様LOWゲインではあまり余裕がない(16Ω負荷で0.5V=15.6mW程度が限度か)。音量が取りにくいイヤホン/ヘッドホンは素直にGAINスイッチを上げませう。
出力インピーダンスは0.14Ω程度と良好。
(CLIOの測定誤差は0.1Ω程度はあるものと思われ。)
16Ω負荷&LOWゲイン時のF特です。優秀ですね。うん。
秋月電子
キット
AE-HPPM
L  


高音があまり伸びていませんが、fc=60kHz以上と思われ、この位ならまあ無問題ではないかと。
低音は10Hzの方形波を見ると-3dB降下は0.39*10*(5.8-4.5)/5.8≒1.75Hzと、こちらもまず文句はないものと思われ。

16Ω負荷時THDは0.002〜0.004%あたり。かなり優秀。
THD+Nも0.006%程度とこちらもなかなか優秀な様子。
出力は16Ω負荷で0.5V程度(15.6mW程)で、あんまり余裕はない感じ。
(キットの説明書には、ゲイン調整したければチップ抵抗変更しると御尤もな記述あり。)
0.17Ω程度と良好。
30kHz強のピークは何かノイズを拾っているのが原因と思われますが、原因不明。
(CLIOの測定誤差は0.1Ω程度はあるものと思われ。)
低域は2Hzで0.6dB程ゲインが低下。
高域は20kHzで0.5dB程ゲイン低下の様子。
概ねキット付属のマニュアル記載の特性と同じようです。
 


【SHADOW編】
・・・・嗚呼SHADOW、なんだかイマイチ也。


さすがにRSAですから(ヨイショ気味)、イマイチといっても、どーしようもないってことはないですが
個人的には、これなら特に使わなくてもいいかな・・・ってレベルかしらん。 

【iBasso T4編】

<長所>
・歪み率はそれなりに良い。
・出力インピーダンスは0.2Ωと低く、ヘッドホン固有のインピーダンスに音質が影響されにくい。
・低域の周波数特性は十分フラット。
・サイズは極めてコンパクト。かわいらしい。

<欠点>
・GainLow時の出力が低め。
・ほんの少し高域にピークあり。でも僅かだし緩やかだし、これくらいならアリな程度かと。
・ BassBoostの効果が重低音寄りで、ソースによっては効果が低めの可能性も?

<俺結論>
相当惜しい!
高域のピークさえなければ、このサイズと値段で最高だと思うんです。

T3はどーなんでしょううね?
 



<参考1>
【入力信号(低周波発生器TEXIO AG-253Eで方形波を生成し、これを入力信号としました。)】






 
<参考2>
【iPod touch(第一世代)とiPhone3GSの出力インピーダンス)】


よく言われるとおり、iPodの出力インピーダンスは約5Ω@1kHz(上のtouch第一世代の実測では5.7Ω@1kHz)。
加えて低域でインピーダンスの上昇が見受けられたのですが(カップリングコンデンサによるものでしょう)、新しいiPhone3GSでは2Ωに低下し、かつフラットなインピーダンスに変わっているようです。


穿った見方をすると、旧iPodは出力インピーダンスが高く、周波数特性もフラットでないという問題があったために、ポータブルアンプ接続による効果が大きく、言い換えれば、
旧iPodではそれなりのアンプでありさえすれば、比較的容易に音質が向上出来た、と言えそうです。

一方、iPhone3GSの場合はインピーダンス特性はフラットで、2Ωとそれなりに低い値になってこの欠点がほぼない。よってポータブルアンプに求められる品質はより一層高まっていると言えましょう。さもないと
単に音質が劣化するだけの結果になりそう。
例えば・・・
いや言うまい。・・・・やっぱり言おう。PHA10とかね。鶴亀鶴亀。

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