装着すると周波数特性はどうなるの?
Audeze LCD-2(Rev.2)編


2011/11/23作成

オルソ型では人気がある(らしい)LCD-2の感想というよりも、
本ページでは、ヘッドホン、特に大型のヘッドホンを装着すると周波数特性はどのように変化するのか?という疑問について試してみました。


・・・とまあ前置きはどうでもよいので、レッツラGO〜!


【グラフ1】非装着時と装着時の周波数特性の比較
 非装着時は、スピーカーの周波数測定と同様に、バイノーラルマイクをドライバー軸上に置いて測定しています。(距離は適当に約15mm)
 装着時は、同じマイクを自分の外耳道にセットしたうえからヘッドホンを装着して周波数特性を測っています。


ヘッドホン(LCD-2)を装着して周波数特性を見てみると、低域の音圧上昇に加えて、非装着時には無かった高域の強烈なディップ(音圧の谷)を生じることが分かります。(特に6.8kHz、13.4kHz)
これはイヤパッドの内側の形状によるもので、LCD-2の場合には内径が高さ約65×幅約45mm×深さ最大で約30mmというサイズです。【写真1】
定在波が発生する周波数は、単純に壁一対の場合を考えると:
0.5×N×音速÷対面する壁面同士の距離 (N=1,2,3...)
・・ですから、LCD-2のイヤパッドの場合は、概ね2.6kHzあたりから定在波の影響が出始めることになりそうです。
(実際のグラフも概ねそんな風に見えるように思います)



【写真1】LCD-2のイヤパッド

内径は、概ね高さ65×幅45mm×深さ最大30mm程度。ラムスキン製のイヤパッドとのことです。


【グラフ2】非装着時と装着時のインピーダンス曲線の変化

 LCD-2では装着すると、最低共振周波数(f0)が40Hz程度まで下がり、1kHz近辺の共振が発生していることが分かります。
上の【グラフ1】を見ると、装着時に1kHz近辺になだらかなピークが発生していることと対応しているように見えます。



【グラフ3】周波数特性のスムージング処理の有無によるグラフの見た目の違い

一般的には、1/3オクターブのスムージング処理と、Diffused-Fieldイコライジングを行って周波数特性を表示されていることが多いのですが、
(これはDiffused-Fieldの補正カーブが1/3オクターブの帯域で測っていることによるのではないかと思うんですが・・・自信なし・・・。)
特に高域については、
なだらかな山谷なのか、鋭い山谷なのか?という情報は消え失せてしまうため、実態とかなり異なることが分かります。
LCD-2のケースでいえば、6.8kHzと13.4kHz近辺の局所的かつ20dB以上もあるディップが存在していたことは、スムージング後のグラフからは分からない。

しかし、だからといって、スムージングしなければ、平均的な人間の耳に相当する(と思っている)適正なイコライジングが出来ないのですから、
スムージング処理はやむをえない妥協であるとも言えます。

結局、ヘッドホンの周波数応答、とりわけ高域については、妥協のない実測データというものは存在しません。
ないよりはマシか・・・、という姿勢で参考に留めるのが吉であります。
(インピーダンス曲線くらいかな・・ほぼ正確に出せるのは。)


以上

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