Final Audio Design Fl-DC1350M2
(2009/9/20)


【写真1】

こちらは普通に樹脂製の筐体のFI-DC1350M2。
イヤパッドに放射状の6つの開口部があるのが変わってます。低音の共振を抑える効果がある、とのことですが本当はどうなのかは自分は良く分かりません。
LRの表記が無いのが困るところですが、えーと、この写真では上の方が「Lch」ですね。
四角い板のところを赤青に色分けすれば良かったのに・・ブツブツ・・・。

以下の感想や測定は、開口部有のイヤーパッドを使った際のものです。

俺イヤーによるひとくち感想:
こちらは金属削り出しのFI-DC1601SBとは異なり、普通の樹脂製筐体なので普通に軽くて普通に外で使えます。
(デジタルスケールで実測するとケーブル抜きで片ch約3g。)
気になったのはLRの表記や突起が無い点。いちいち形から左右を確認しなくてはならず不親切な気がします。

浅く装着するタイプのカナルなので、遮音性はあまり良くは無い。音漏れはイヤホンタイプほどではないけれど、カナル型としてはそれなりに大きいように思う。

次に音質。
全体としては・・・・難しいですねこれ・・・・
あえて言うならカマボコ(狭帯域)+中高域の一部にシャリつき大、といった俺印象。
大雑把に見ればFI-DC1601SBと類似点(ローエンドとハイエンドの音圧低下など)が多く、このメーカのポリシーなのかもしれませぬ。

低域は何か懐かしい携帯ラジオのような低域で見事に伸びがない。バスドラムは「ストンストン」と軽い音。ベースも相当に弱々しく、音程が下がると消え入るよう。

ボーカルは全体としては太めで、比較的引っ込んで聞こえるが、サ行などの歯擦音はかなりキツさがあり、まったりも出来ずに悩ましいところ。

ハイハットや、スネアはどちらかといえば地味な部類かと思うが、FI-DC1601SBよりはまだマシな印象。
ただしこのFI-DC1350M2もFI-DC1601SBと同じく、高域の金属のキラキラした感じや粒状感というか鮮度が乏しい問題がある思う。
ただし、そうかと思えばクラッシュシンバルでシャリつきが酷く破綻気味の楽曲もあり、(例:スパングルコールリリラインの"Lilli Disco")、これによりシンバルの音圧が高まる3-8kHzあたりに大きな音圧の凹凸があるものと推測できる。
トランペットは強奏部でほぼ例外なくキツさあり。これは倍音が10kHz程度まで綺麗に伸びているため、上記のキツさのある帯域に合致してしまうためかとも思う。

アコースティックギターもあまり良くは無いが、FI-DC1601SBよりも前に出るし高域の鮮度の面でも何とか聴けるレベルなのではないかと思う。


音の感想や好みなど人それぞれなのを承知で率直に言わせてもらえば、音圧の山谷はさておいても、
FI-DC1350M2とFI-DC1601SBは、ローエンド/ハイエンド双方が相まって狭帯域すぎるのではないかと自分は思いました。


【グラフ1-A】 Final Audio Design FI-DC1350M2 vs ER-4Pの周波数特性比較
(stimuli=LogChirp@48kHzSampling,64kLength)

赤=FI-DC1350M2、灰色=ER-4S

ローエンドの音圧低下が特徴的。FI-DC1601SBと同じように共振周波数以下は-12dB/octで音圧低下の様子。


【グラフ1-B】 Final Audio Design FI-DC1350M2 vs FI-DC1601SB(比較しやすいよう音圧を+5dBシフトしています)の周波数特性比較
(stimuli=LogChirp@48kHzSampling,64kLength)
赤=FI-DC1350M2、灰色=FI-DC1601SB


最低共振周波数は200Hz超らしく、FI-DC1601SBよりも200Hz以下の音圧が更に低い。
全体的な音圧の変化の具合は1601SBとよく似ているため
、設計ポリシーには一貫性がある様子


【グラフ2】 インピーダンス Final Audio Design FI-DC1350M2

最低共振周波数は232Hz(黄色線)。FI-DC1601SBが110Hzだったのでほぼ倍の共振周波数ということになる。
232Hzから-12dB/octとなってしまっているからさあ大変。
・・・なんでこうしたんでしょうか。小型SP風の低音が自然であるというポリシーなのかしらん?

自分は「せっかくカナル型のイヤホン。(振幅が一定のFs以下の弾性制御領域を使って)密閉度を高めて低域の音圧フラットにしないのはモッタイナ〜イ
などと思ってしまうのですが、このような打算でもって考えるのは自分の精進が足りぬせいでしょうか・・・・。

 【グラフ3】時間領域の応答比較 FI-DC1350M2 vs FI-DC1601SB vs ER-4P
  FI-DC1350M2 <参考>FI-DC1601SB  <参考>ER-4P 
CSD
2.46msec/30dBレンジ 

レゾナンスや反射の様子は全体的に、FI-DC1601SBとよく似ています。
こちらの方が若干高域の音圧あり。


 
CSD
24.6msec/50dBレンジ

ローエンドはFI-DC1601SBよりもさらに薄い。ここまで薄いのは正直見たことなし。

 
インパルス応答  
 ステップ応答  


時間領域の特性も良く似てます。・・・・良い点はあまりよくわからなかったのですけれど。



これも俺的に謎多きイヤホン。
強いて言えば、我が道を行くといった感じ・・・・・なのかしらん?



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