GRADO GR8
(2009/10/11新規作成) 2009/10/22一部追記
ブルックリンではなく、メイド・イン・ジャパンなGRADO。
最近メイドといえば秋葉原ですが関係ないですね。メイド・イン・ジャパン。
【写真1】GRADO GR8 外観
イヤチップはS、M、Lの3種。フィルターの換えも付属しています。
俺感想 思いっきり俺主観全開でGO!・・・ちょっと辛口かも ・質感:普通。ortofonのe-Q7の金属の質感よりは2段くらい落ちるかも。 ・装着感:耳の奥まで入れようとすると、ケーブルの付け根が少し邪魔。もう少しステムかチップを長くして欲しいかも。 (自分の場合は付属のチップではなくUE10proのチップを使ったりするといい感じでした。) ・音量:少しボリューム位置は高め。比較的録音レベルの低いクラシックにおいて、iPodでボリューム70〜80%程度。ポップスなら50〜60%程度か。 ・音: ・全体:僅かに中域〜低音寄りの音調に聞こえる。それ以外は比較的素直な音調で、地味とも言えるかも。特定の帯域をヘンに強調した感じはしないのは良い。 GRADOというと中高域が強調されたイメージが(自分は)ありますが、そういう意味ではあんまりGRADOっぽくないかも。 e-Q7に良く似ている。比較すれば僅かに中低域よりか?BA型らしい高域の滑らかさもe-Q7同様に良い。ハイエンドはe-Q7同様さほど伸びない感じ。 ・低音:量は普通程度でローエンドの伸びはあるのだがBA型らしい軽さ。ベースやキックは軽め。外で使うならもう少し派手でも良いかも。 質については若干だが制動というかフォーカスが甘いような印象もあるが、大して気にはならぬ程度。 ・中域:ボーカルは少し太めで、ほんの少し引いた感じでどちらかというと地味。サ行などの歯擦音は殆どキツさなし。これもあんまりGRADOっぽくはないかも。 ・高域:地味。ピーキーさがあまり無いのはBA型らしく良い。金管楽器などを聴くと、金属的な倍音がいまひとつ伸びきらず少しだけモコモコしている印象あり。 バイオリンももう少し高域に伸びが欲しい感じ。クラッシュシンバルやハイハットも地味めでハイエンドの伸びというか粒状感は今ひとつだが、 それなりに滑らかでキツさが少なめなのは良い。 |
【写真2】GRADO GR8(左)と、ortofon e-Q7(右)
ortofon e-Q7と同じドライバを採用しているように見えます。
一般的なBA型ドライバとは異なり、「1磁極型」と言われるドライバらしく(下記【参考リンク】参照)
背面について音響的なチューニングが出来るそうですので、チャンバーの設計要素も加わって、それなりにバリエーションが出来そうですねん。
【参考リンク(外部)】
(1)ヤシマ電気株式会社:技術情報バランスドアーマチャータイプ(Balanced armature type)
(2)ヤシマ電気株式会社:イヤーカナル、バランスドアーマチャータイプ「N20型」詳細情報(pdf)
2009/10/22追記 上記【参考リンク(外部)】(1)を見る限り、「1磁極型」では振動板を駆動するアーマチュア(鉄片)に対する、磁極から受ける力は1方向の吸引力のみであり これに対抗して平衡位置にアーマチュアを留まらせる力は、アーマチュアを支える機械的な力だけのようです。 これを一般的に「バランスド」アーマチュア型、BA型と呼んでよいものなのかは不明。 一般的には1磁極型のものは単に「マグネチック型」「電磁」型、「電磁イヤホン」などと呼ぶようです。(参考:コロナ社/改版 電気音響振動学) 【参考リンク(外部)】(2)のpdfにも「Type/Magnetic」といった記載がありますね。 (BBSでのタマカさんのご指摘に感謝いたします。) |
【グラフ1-A】GR8 vs ER-4Pの周波数特性比較(stimuli=LogChirp@48kHzSampling,64kLength)
赤:GRADO GR8、灰色:ER-4P
上記【参考資料2】(2)のpdf記載のグラフと比較するのも面白いかと。
【グラフ1-B】Grado GR8 vs ortofon e-Q7の周波数特性比較(stimuli=LogChirp@48kHzSampling,64kLength)
赤:GRADO GR8、灰色:ortofon e-Q7
大雑把に見ればそれなりに似ています。e-Q7と比較では
GR8は若干中低音寄り・・・というか概ね8kHz以上の高域の音圧降下が大きいように見えます。
最低共振周波数(GR8では2kHz強)以上の高域について、振幅が減衰して単純に-12dB/octの音圧低下となってしまわないように、
いくつかのレゾナンスを要所に配置して(4kHz、7kHz、10kHz近辺など)チューニングしている様子が見て取れるようにも思います。
【グラフ2】Grado GR8のインピーダンス(stimuli=MLS@48kHzSampling,16kLength,Window=Rectangular)
DC抵抗で約60Ω。2,060Hz前後が最低共振周波数f0と思われ290Ω程度。3,600Hzにも190Ω程度のピークあり。
e-Q7と比べてGR8はf0の共鳴のQ値が高め(※)で、振動板の背圧が比較的弱め(あまりダンプされていない)のようにも見えます。
(※)縦軸のスケールMAXがGR8は1000Ω、対してe-Q7は200Ωにすぎない点に留意されたし。
またお遊びの要素として、シングルBAらしく高域に行くほど(概ね)単調増加なので、アッテネータを入れて高域を強調できそうです。(本ページ下の方でやってみました)
【参考グラフ1】ortofon e-Q7のインピーダンス
e-Q7のDC抵抗は14Ω強で、GR8より45Ω程低い値。
(単に憶測ですがGR8にはこの程度の抵抗が追加で入っているのかしらん?)
【グラフ3】CSD、その他過渡応答 GR8 vs ER-4P/e-Q7
CSD(2.46msec/30dBレンジ) | CSD(24.6msec/50dBレンジ) | インパルス応答 | ||
GRADO GR8 |
||||
ortofon e-Q7 |
||||
EtymoticResearch ER-4P |
GR-8、e-Q7はCSDの様相も良く似ています。(帯域ごとの若干の高低はありますが)
僅かですがGR-8の方が中低域よりの周波数バランスのようにも見えますが・・・どうなんでしょうか。
最後に、
高域がもう少し欲しい!・・・という気がしますので
アッテネータ(ER4P-24、実測68Ω)を入れて遊んでみました。
【グラフ4】GR8にアッテネーターを入れてみた際の周波数特性
赤:GR8(標準)、青:GR8+68Ωアッテネータ(ER4P-24)
むむ。高域はなかなか良い感じに聞こえます。
ただし相対的に低域が音圧が落ちるので、併せてイコライザで200Hzから下を数dB持ち上げるとよろしいのではないかと思われマス。
好きものの方(失礼)はお試しアレ。
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