JVC Kenwood HA-FXD80/HA-FXD60
(2012/6/17)


ダイレクトトップマウントなる構造の新機種を2本測定。どーぞ。


1.周波数特性(測定CLIOwin fw + 内径7mmφ×21mmシリコンチューブ)

   

いずれの機種も、低域(概ね200Hz以下)と高域(2kHz以上に複数のピーク)のあるドンシャリ傾向と思われます。
特に高域のピークは4kHz前後(気柱共鳴に依存しない)と、
カプラーや耳への差し込み具合によって、その周波数が変化する7〜10kHz前後に存在する大きなピークが気になりました。
自分のカプラーでの測定では上のグラフのとおり9kHzあたりに10dB以上の大きなピークがありますが、
自分の耳に装着したところ、このピークは概ね7.5kHzで強く感じました。高域になるほど測定と実耳のジオメトリの違いが大きくでるので仕方がありません。

また、FXD80は複数回測定した際に、数回に1度程度の頻度で5kHzから下の低域が15dBほど低下してしまうことがあった。
これは振動板がカプラー内の気圧にまけてしまい、正常に大振幅が取れない状況となっていたものと憶測します。


※参考:低域に異常発生時のFRグラフ



2.インピーダンス(測定CLIOwin fw 、イヤホンは解放状態)

   

周波数特性にも現れていたが、FXD80/60いずれの機種についても、左右chのマッチングがよろしくないように見える。(これは前モデルでも同様の傾向があった)
2kHz〜4kHz辺りの音圧差がステレオイメージをふらつかせないか、ちょっと心配です。



3.歪み率(測定CLIOwin fw + 内径7mmφ×21mmシリコンチューブ)

   

FXD80では200Hz以下、および2〜3kHz辺りで歪み率が-40dB(1%)を超えており、あまりよろしくない印象。
FXDも同様の傾向があり4kHz超で1%を超えている。
歪みの大部分は2次の高調波であるのが面白い。密閉型+ダイレクトトップマウント方式で原理的に問題となりそうなポイント。


※参考:ER-4Sの歪み率


【俺感想】
面白い構造。変に高価でないのも好印象
・・・・しかし2世代目?なのに音質的に一番大きな問題点(左右chののマッチング、高域のピーキーさ、歪率の悪さ)はそのまま残っているのは残念。


TOPへ戻る