ortofon e-Q7
2009/8/13

【写真1】ortofon e-Q7外観



個人的に興味津々な機種であります。
外観はBauXar EarphoneMにちょっと似てますが、あちらはER-4P風(高域はER-4Pよりもおとなしめですが)のチューニングであり、e-Q7と音は特に似ていないようです。

あと、Lch側の結線部に凸部があるだけで、L/Rの表記が無いのはちょっと不親切かなあ・・・。赤青の色分けが普通に親切で良いかと思うのですが。

俺イヤーで聴いたところでは、「地味目な音調で、高域も落としている感じだけれど、バランスはなかなか宜しい。」といった第一印象。
果たして測定結果では如何に?


【グラフ1】 e-Q7 vs ER-4Pの周波数特性比較(stimuli=LogChirp@48kHzSampling,64kLength)
赤:e-Q7、灰色:ER-4P

ER-4Pと比べると、e-Q7は概ね以下の感じかな・・と
・低音が4dB程豊か。
・人間の耳の感度の高い2〜4Hz辺りは、(山谷はあるが)全体として比較的おとなしい。
・7〜8kHz前後にピークあり。(おとなしめの2〜4kHzに対してバランスを取られているようにも見える。)
・10kHz以上の高域は比較的落ち込みが大きい。さほどHi-Fi感は強調されていない様子。

【2009/8/14追記】
このe-Q7。珍しくマニュアルに周波数特性のグラフが載ってます。
以下がそのグラフであります。(「バランスド アーマチュア ドライバー」の方」)


一見すると結構フラットに見えますが、縦軸が10dB区切りで、かつ横軸が相当引き伸ばされているので、それなりに意識して見る必要がありましょう。

ちなみに外箱には「Frequency response:10-20,000Hz +/- 3dB」との記載があります。

しかしながら1kHz基準で見てみても、10kHzですでにおおよそ-10dBになっており、16kHzでは-16〜17dB程。

(そして・・・・20kHzまで出して欲しかった。もしかしたら
大人の事情があったりもするのかもしれませぬが。)

ダミーヘッドの外耳での応答に相当するイコライジング(Diffuse-fieldやFree-Field)をしたものと仮定して「10-20,000Hz」となっているかもしれませんが、
ER-4P(4Pでも、4Sに比べると高域が落とされている・・・ことになっている。)との比較をすると、なんだか今ひとつ腑に落ちない感じ。

ちなみに俺測定の結果と比べると、10kHz以上がずいぶん違いますなあ。実際高域はここまで伸びてるのかしらん?




【グラフ2】インパルス応答(stimuli=LogChirp@48kHzSampling,64kLength)
(上:e-Q7、 下:ER-4P(参考))

e-Q7は、7.6kHz前後の共振が最後まで残っているようです。>>CSD参照


ER-4Pの場合、最後まで残っているのは3kHz前後の共振ですが(その他は16kHz、13kHz、10kHzの順に共振が長く残る)、振幅の収束は極めて速いように見えます。>>CSD参照


【グラフ3】CSD e-Q7 vs ER-4P
e-Q7(左:2.46msec/30dBレンジ、 右:24.6msec/50dBレンジ)


ER-4P(参考)


ER-4Pよりも高域は残響若干長めの感じに見えますね。


【グラフ4】 e-Q7のインピーダンス

DC抵抗はおおよそ14オーム強。fsから高い周波数(約3kHz)で27オーム。
外箱に記載のインピーダンス値「40 ohms」とあまり合っていないような気が・・・なぜなんですくわ!

・・・・と思ったら、
中に入っていた取り扱い説明書には「インピーダンス:31 ohms+/- 25%」との記載あり。 どっちやねん。
ということは23.25Ω〜38.75Ωの範囲つーことなのか?
やっぱりなんだか納得いきませんが・・・まあいいか。

それはさておき、このインピーダンス曲線はなかなかいい感じにアッテネータで高域を持ち上げることが出来そうな感じに見えます。
よって次に、ER-4P用の68Ω(俺実測)アッテネータを入れて遊んでみます。


【グラフ5】e-Q7にアッテネーターを入れてみた際の周波数特性
赤:e-Q7(標準)、青:e-Q7+68Ωアッテネータ(ER4P-24)

アッテネータを入れると、地味だったボーカルや高域が派手になり、それなりに面白い感じです。
ただ、7〜8kHzあたりが明らかにシャリ付いた感じにもなりますので(シンバルなんかが妙に元気になって面白いですけれどね)、
もう少し控えめに例えば20Ω前後のアッテネーターが良さそうな気もします。

【グラフ6】同じアッテネーター(ER4P-24、実測68Ω)を入れた際のe-Q7とER-4Pの周波数特性
青:e-Q7+68Ωアッテネータ(ER4P-24)、黄:ER-4P+68Ωアッテネータ(ER4P-24)


6〜11kHz辺りは、ER-4P+ER4P-24(いわゆるS化)と比べてもちょっと派手すぎるようです。
やはりアッテネータはもう少し小さめのものが宜しかろうと思われ。


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