お手軽測定振興会 2010年11月号
(2010/10/31新規作成)




周波数特性だけの測定じゃあもうモノ足りない!
俺は位相や、過渡応答も測るぜ!


・・・などという、謎の情熱のある方のために、色々やってみる。
そんな振興会でございます。(現在会員1名)

今回は、

・PCオンボードのサウンド機能
・安価なUSBオーディオインターフェイス

 ・・は、どの程度の位相や過渡応答の精度を持つものなのか、試してみました。

1.試した機種
 (1)Realtek HD(PCオンボードサウンド)
 (2)Creative USB Sound Blaster Digital Music Premium HD (定価8,900円)

 (3)現在までの
俺測定環境(再生=GRACE DESIGN m902、録音EDIROL FA-66)


・・・特に(3)がダメそうな予感。


とにかく結論から、どーぞ。

2.結論

 ・今回のPCオンボード(RealTek HD)の例でも、
  再生と録音のサンプリングレートを選べば、十分な測定精度を保てるものあり。

 ・比較的安価なUSBオーディオインターフェイスも(1)と同様です。

 ・過渡応答/位相の素直さは、値段と特に関係が無いようにお見受けします
  選定する際に非常に厄介なところです。 位相の事なんか普通カタログに記載ないですし。

 ・俺測定環境はかなり残念な結果に!



3.測定結果

【表1】48kHzサンプリングの場合(再生・録音サンプリング設定:48kHz/16bitの場合

  インパルス応答  周波数特性(振幅+位相特性)  
Realtek HD
(PCオンボードサウンド)
 
 
【優秀】
ごく僅かですが、非対称な形ですので、位相のズレもごく僅かにあるものと思われ。
【優秀】
周波数領域では、20Hz〜20kHzまで振幅/位相ともに殆ど問題無し。
Creative
USB Sound Blaste
Digital Music Premium HD
 
 
【良好】
高域の位相遅れが僅かに見受けられますが、総じて良好かと。
【良好】
周波数領域では、2kHzあたり?から上の周波数で、位相が僅かですがウネウネと
進んだり遅れたりしているように見えます。問題となる場合があるかどうかは不明です。
(この程度なら殆ど影響ないでしょうけれど)
<参考>
俺測定環境。
再生:GRACE DESIGN m902
録音:EDIROL FA-66
   
【可】
はっきり高域の位相遅れが見受けられます。
【可】
振幅は良好ですが、位相が目立って遅れています。
この影響がインパルス応答やらステップ応答やらの過渡応答について
測定誤差となりそうです。


以上より

【48kHzで、過渡応答や位相を測定する場合のお勧めの順番】

Realtek HD(PCオンボードサウンド)

(次点:Creative USB Sound Blaster Digital Music Premium HD)
 




次に96kHzの場合を測定してみました。

サンプリングレートが変わると、また状況が変わってしまうことが、お分かりになるかと思います。


【表2】96kHzサンプリングの場合(再生・録音サンプリング設定:96kHz/16bitの場合

  インパルス応答  周波数特性(振幅+位相特性) 
Realtek HD
(PCオンボードサウンド)
 
【良好】(ただし20kHz以上測定不可)
いきなりですが、何故か再生側のサンプリングレートが96kHzにならず、
48kHzのまま再生しいている様子。原因不明。(俺が悪いのかも?)
ただし、録音側のサンプリングレートは96kHzに切り替わっており、
ゆえに「表1」と比べて、より綺麗に波形が取得できており、
「48kHzのインパルス」としては、ほぼ理想的な形になってます。
【良好】(ただし20kHz以上測定不可)
左記のとおり、再生信号自体が48kHzサンプリングなので、
再生可能な周波数は20kHz強まで。
しかしその範囲では非常に綺麗な振幅/位相特性になっており、
20kHzまでの観測なら精度良く使えそうです。
Creative
USB Sound Blaste
Digital Music Premium HD
 
【優秀】
Creativeの方は、再生も録音も96kHzに切り替わっています。あたりまえですけどね・・・
(48kHzの時と比べて、インパルスの時間幅が狭くなっている点にご注目。)
48kHzの時と同様、僅かな高域の位相遅れが見受けられるようです。
【優秀】
20Hz〜20kHzのオーディオ帯域では、振幅/位相とも十二分にフラットだと思います。
過渡応答の測定に十分使えると思います。
(10Hz〜40kHzくらいの帯域までは測定で使えるように思います。)
<参考>
俺測定環境。
再生:GRACE DESIGN m902
録音:EDIROL FA-66
 
【不可】
96kHzでも、はっきり高域の位相遅れが見受けられます。
【不可】
48kHzの時と比べても、96kHzでは振幅/移送ともに、さらにフラットさが劣るようです。
(自分の測定ミスでなければ良いのですが・・・)
FA-66では96kHzサンプリングで測定しない方が良さそう。

【96kHzで、過渡応答や位相を測定する場合のお勧めの順番】

Creative USB Sound Blaster Digital Music Premium HD

(次点:Realtek HD(PCオンボードサウンド))※ただし20kHzまで。


・・・どうも決め手に欠く測定結果でしたけれど、

「使えないサンプリングレートの組み合わせはあきらめる」くらいしかないように思えます。

とほー。


あと、どんだけ俺の環境がダメなんですかと。



以上


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