Roland RH-PM5
2009/10/4

【写真1】Roland RH-PM5外観


かなり地味に売られている(失礼)、ローランドのシングルBAのイヤホン。
秋葉原のヨドバシのショーケースにはありますが、その他のお店ではなぜかあんまり見た記憶なし。

メーカーの謳い文句には「ライブ・ステージのモニタリングに最適」などとありますので、モニター用なのでしょう。

俺イヤーによるひとくち感想:

イヤチップはBauXar EarPhoneMと良く似た(っていうか材質は多分同じ)、表面がツヤツヤで、カサの肉厚がとても薄いタイプ。非常に柔らかい。
(ついでに音もEarPhoneMとよく似ていると思います)
材質はシリコンらしく、軽く押し込むだけで外耳に極めてよくフィットして密閉性が高く遮音性もとてもグーです。
遮音性はほしいけれど、耳に深く挿入するタイプがダメな人にはかなりオススメ出来るようにも思います。
ただ、比較的浅く装着するくせに密閉性が良過ぎるため、気楽にサっと耳から抜いてしまうと鼓膜を痛めそうな感じはありますので注意(?)
またゴミ(有体に言えば耳垢ですが)が付きやすく目立ちやすいのは玉にキズかも。

【写真2】左:BauXar EarPhoneM、 右:Roland RH-PM5


ケーブルは剛性感の高いエラストマー系で丈夫そうではあるが、長さが1.8mと比較的長いため、取り回しはあまり良くないように思う。
通勤時などにポータブル機で使う場合には、このへんは要チェックかと。

音量の取りやすさは普通。

次に音質。
どちらかといえば若干低音寄りと感じます。BA型らしくピーク感が少なく、滑らかな感じは良い。

・・・ですが、高域、特に8kHz以上が地味すぎなようにも思います。
イコライザなどで試して見ると分かるかと思いますが、8kHzあたりの音圧を落としてしまうと、ガックリと鮮度や立体感がダウンしてしまうことが多いと思うのです。
加えてハイエンド(16kHzあたりまで)の伸びが無いのがちょっと残念。
パっと聴きではさほど不自然さはないのですが、「高域伸びきらないなあ・・」と感じてしまうのが正直な感想です。

同様の感想を持たれた御仁は、イコライザで8kHzとそれ以上のバンドを持ち上げるか、下の方に書いたアッテネータで高域を持ち上げてみるのもテかと思います。



【グラフ1-A】RH-PM5 vs ER-4Pの周波数特性比較(stimuli=LogChirp@48kHzSampling,64kLength)
赤:RH-PM5、灰色:ER-4P

どちらもシングルドライバのBA型ということでそれなりに似ているようではあるのですが、違いは以下のように見えます。
・低音が2dB程豊か。
・Etymoticのポリシー(?)である、2〜4Hz辺りのピーク(外耳道の共鳴の補完)についても良く似ているけれど、若干RH-PM5の方がピーキーな特性。
・10kHz以上の高域はER-4Pと比べると落ち込みが大きい。(惜しいなあ・・・)
※なお10kHz超のピークはカプラーの中での共鳴で発生しているものであり、カプラや外耳の長さや径によってある程度変化するものと思います。




せっかくですから(なにが)、その他シングルBA型の、Bauxar EarPhoneM、ortofon e-Q7とも比較してみませう。

【グラフ1-B】RH-PM5 vs BauXar EarPhoneMの周波数特性比較
(stimuli=LogChirp@48kHzSampling,64kLength)

赤:RH-PM5、灰色:EarPhoneM
【グラフ1-C】RH-PM5 vs ortofon e-Q7の周波数特性比較
(stimuli=LogChirp@48kHzSampling,64kLength)

赤:RH-PM5、灰色:e-Q7
   

いずれもそれなりに似ている方だと思いますが、
特にBauXar EarPhoneMとF特は良く似ているように見えます。(俺イヤーで聴いた感じもよく似てます)





【グラフ2】インパルス応答/ステップ応答(stimuli=LogChirp@48kHzSampling,64kLength)
(上:RH-PM5、 下:ER-4P(参考))

それなりに綺麗なようです。
ですがER-4Pと比べるとRH-PM5は、3kHz強と10kHz前後の共振が僅かに長く尾を引いているようです。>>CSD参照

<参考:ER-4P>

ER-4Pの場合、最後まで残っているのは3kHz前後の共振ですが(その他は16kHz、13kHz、10kHzの順に共振が長く残る)、振幅の収束は極めて速いように見えます。>>CSD参照



【グラフ3】CSD RH-PM5 vs ER-4P
RH-PM5(左:2.46msec/30dBレンジ、 右:24.6msec/50dBレンジ)

   

シングルBA型らしく、スッキリ綺麗めなCSDですが、3kHz強と10kHz近辺のレゾナンスはそれなりにあるのかも。俺イヤーでは殆ど気にならないですが人様はどうであるかわかりませぬ。
※200Hz強のウニウニしている部分がアーティファクト(偽りの測定結果)でなければ良いのですが・・・一応再現性はありますが自信はないなあ。



ER-4P(参考)

   

ごくごく大雑把に言えば、シングルBA型のCSDって似てますよね。悪く言えばダイナミック型ほどバラエティが無い、ともいえるかも。よく言えば過渡応答がそれなりに良いのでどーしても似ちゃう。


【グラフ4】 RH-PM5のインピーダンス

DC抵抗はおおよそ25Ω。最低共振周波数は2485Hzで81.8Ωでした。
シングルBA型らしく右肩上がりのインピーダンス。
なお装着時/非装着時のグラフは殆ど同じで差異は極めて少ないようです。

よって、RH-PM5もアッテネータで高域の量を調節して遊ぶことが出来そうです。



【グラフ5】RH-PM5にアッテネーターを入れてみた際の周波数特性
赤:RH-PM5(標準)、青:RH-PM5+68Ωアッテネータ(ER4P-24)

アッテネータを入れると、ご覧のとおり地味な高域がガッツリ持ち上がります。
鮮度がグンとアップしたようになるものの、ボーカルのサ行はキツめになりますし、
押しなべて楽器のアタック時なんかは若干ヤカマシイ気もします。(倍音が豊富なためでしょう)
アッテネータを入れるのであれば、もう少し控えめな抵抗値のものが宜しかろうと思われます。


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