ULTRASONE Zino
2009/8/29

iCansの後継機。

個人的には、iCansはUltrasoneのポータブル用と言うことで期待したのでありますが、これが結構苦手でした。
なんだか低音が歪みっぽい気がしましたし、高域もクセがあってキツさを感じたためであります。

今回は如何に?果たしてリベンジなるか!?(誰が誰に?)

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【見た目】
細かな違いはありますが、押しなべていえば旧iCansとそっくりです。
あえて言えば、ハウジングのメーカーロゴが凹凸のあるレリーフ風になった点と、ガンメタリック風の色合いになったのでちょっぴり高級感UP。
これなら外でも使えるかも。でも個人的には
でかいメーカーのロゴはやっぱりイヤですが。
あとはケーブルも太く丈夫そうになった点も良い。

マイナスポイントとしては、何故かハウジングの回転(スイベル機構)が廃止されてますね。
・・・まあしかし、そこまでコンパクトにまっ平らにならなくてもイイや、っていう気もします。

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【俺イヤーによる音の感想】

ドンシャリな印象。

低音の量はそれほどでもないですが、高音は派手でキツい感じあり。
低音の歪感はiCans程ではないような気もしますので良化しているのかも。横に置いて聞き比べてないので自信ないけど。
(S-Logicのせいか)音場が広い感じは健在。これは美点といえましょう。

その他では、音量が少し取りづらく、Vol位置が高めになる点は若干気になりました。

トータルでは、俺イヤーでは旧iCansと大きくは印象は変わらず。
ドンシャリはドンシャリでも、少し癖が強い印象で、あんまり好きな感じはしない。

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【俺測定】

比較する相手がいないと、測定結果の解釈がむつかしいので
今回はKossのSportaproを比較対照としてみました。
・・・・特に選定の理由はなく、単に耳のせタイプのポータブルだから、というだけのことです。


【1A.周波数特性:Zino(振幅=緑色、位相=灰色)】
 
【1B.周波数特性:<参考>Koss Sportapro(振幅=緑色、位相=灰色)】
振幅の方は700Hzの谷がものすごく特徴的です。 
最低共振周波数Fsは60Hz前後と比較的低めであることが分かる。
800Hz前後の位相も暴れてます。
一見、高域で位相の回転がSportaproよりも大きいように見えちゃってますが、
これは単に位相の基点の取り方の問題による見せ掛けだけのもんです。

【追記:位相の基点の時間を見やすい位置に修正したグラフに差し替えました。】
位相は絶対値にさほど意味が無い(共振点なんかみるのには意味はありますが)ので
見方がむずかしいんですよね。横軸がLogだと特に。位相は横軸リニアの方がずっと見やすいっす。
なので位相については下記の周波数で微分した群遅延の方が分かりやすいかも。
 4kHz強にディップがあり、これはドライバとマイク間の空間での定在波、
あるいはドライバとマイクの近接効果によるものかと思われ。
(Zinoの10kHzのディップも同様でありましょう)

Fsは100Hz強っぽくZinoよりも随分高いです、っていうか多くのダイナミック型のオーバーヘッドの
ヘッドホンでは100Hz位が普通ですが。



【2A.群遅延:Zino】
 
【2B.群遅延<参考>:Koss SportaPro 
 群遅延(minimum-phase)を見てみると、
(100Hz以下の低い周波数は誤差も大きめなのでとりあえずここでは割愛)
200Hz、800Hz、および1kHz以上で細かな凸凹が多いように見えますね。
S-Logicのためかもしれませんが、位相歪の点ではあんまり宜しくないかも。
・・・とかいって全部アーティファクト(偽の結果)だったらどうしよう。
複数回計って確かめてはいますけれど。
こちらはSportaProの群遅延。
4kHzに谷がありますが、F特性の鋭いディップ位置に相当しており、定在波か近接効果によるものと
思われ(もしかしたら分割振動かもしれませぬが)。それ以外は割合にフラットで素直。



【3A.歪み:Zino】
 
【3B.歪み:<参考>Koss Sportapro
 Zinoは2kHz前後の歪みが若干多き目な様子あり。  Sportaproはなかなか健闘しているように見えます。


【4A.インピーダンス:Zino
装着時インピーダンス・位相/非装着時インピーダンス・位相)】
 
【4B.インピーダンス:<参考>Sportapro
装着時インピーダンス・位相/非装着時インピーダンス・位相)】

 
 Fsは装着時で65Hzといったところで、結構低い周波数のようです。
その他に、200Hz、2kHz、3kHz、4.3kHz、6.2kHzあたりにピークがある様子。分割振動や内部反射なんかでしょーか。
 Fsは装着時で90Hz程度で普通だけれど、Zinoに比べると非装着時の制動がユルユルなので、
背圧があんまりかかってないのかも。

こちらは5kHz弱の小さなピークがありますね。Zino同様何が原因なのかは良く分かりませんが。



【5A.CSD:Zino】2.46ms/30dBレンジ
 
【5B.CSD:<参考>SportaPro】2.46ms/30dBレンジ
【5C.CSD:Zino】24.58ms/50dBレンジ
【5D.CSD:<参考>SportaPro】24.58ms/50dBレンジ
 
 CSDを見ると、Zinoの2kH前後のレゾナンスは派手だけれども
それ程長い時間は残っていないように見える。
 3kH周辺のレゾナンスはそれなりに長い時間残っている様子。


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【俺まとめ】
全体的には旧icansとそう大きくは変わらないように思いますが、
外観については旧iCansと比べると、少し落ち着いた感じで、結構イケるようになっているとは思います。
周波数応答は癖が大きめと思われるので、試聴して確認をオススメします。



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