Vestax JET IMX-1
2009/8/23

イヤホンなのにカールコード採用という変りダネ。
これはこれでカール部分でちょっぴり団子になりやすいので、好み次第な感じ。
加えて耳から外して首から下げて歩いているとビヨンビヨンと跳ねる点も見逃せない。

全体の質感としては金属製のハウジングなのでそれなりに高級感がありますが、円錐状の「サウンドアジャストノブ」が耳から出っ張るので見た目がちょっと気になるかも。


俺イヤーでの印象について、印象の強かった順に書くと(エアダクトオープン時)、概ね以下。
・高域の一部にかなりのキツさあり。サ行は相当にキツい。
・低音の量は普通〜少し多い感じ。歪などの質は特に悪くない印象。
・高域、特に10kHz以上の伸びはあんまりない感じで、若干LoFi調。

トータルの俺印象としては、全体のバランスはさほど悪くはないのだが、サ行の痛さと、10kHz以上の高域の伸びなさが気になる、といったところ。



それでは、以下でチマチマと測ったりしてみませう。
(測定結果はこちらのカナル型イヤホン測定結果一覧にも追加しました。)


【写真1】外観

サウンドアジャストノブ(といっても単なる円錐状の形のゴムですけんど)を回してエアダクトを塞ぐ/開く、で2通りの音質を選べます。
・・・個人的には低音減っちゃうので、塞いで使うことはまずないように思われ。
サウンドアジャストノブ以外の質感は意外と良い。


音響的には以下2点の特徴を謳っております。
@Pulsation effect(脈動効果)なるものを利用した「超低域の空気感と臨場感」。
A「サウンドアジャストノブ」を回して、エアダクトを開閉することで「楽曲のコンプレッション感」を変えることができる。
 (「開くとワイドレンジでハイスピードライブサウンド、閉じると平滑化されたHIFIサウンド」とのこと)
・・・だそうです。


@の脈動効果なるものについては、全然知りませんが、Webで検索してみると内燃機関の吸気やマフラーの仕組みに関連した多くのサイトがあり、いくつか読んでみると
吸気管やマフラーの固有の気柱共鳴と、バルブの開閉などのタイミングを上手い具合に合わせると特定の回転数で、吸気や排気の効率を上げることが出来る、といった効果・・・らしいです。
・・・正直なところ、この脈動効果というものをイヤホンに適用できるものなのか?はたまたチャンバー内での普通のレゾナンスによる効果と何が違うのか、自分は良くわかりません。

一方Aのエアダクトの方は、
毎度お馴染みのヘルムホルツ共鳴器でありまして仕組みには疑問はありません。(【写真2】参照)
ザックリと見積もって、チャンバー容積700mm^3、ポートの半径0.25mm、ポートの長さ(肉厚)0.8mmとして計算すると、
2kHz弱程度で共鳴していることとなり、概ね下の【グラフ1】と合っていそうな気もします。


【写真2】チャンバーとエアダクト(「サウンドアジャストノブ」を取ったところ)

エアダクトの穴は4個。それぞれ直径0.5mm程度。


【グラフ1】JET IMX-1の周波数特性(stimuli=LogChirp@48kHzSampling,64kLength)
赤:エアダクト=オープン時、 青=エアダクト=クローズ時

エアダクトを閉じてしまうと、振動板への背圧増加によって、低音の再生時に必要な大振幅が取れないため音圧が低下してしまっているように見えます。
エアダクトによるヘルムホルツ共鳴と思わしき効果は、それほど顕著には見えないですけれど、2kHz弱あたりに出ている・・・ような気がします。


【グラフ2】JET IMX-1のエアダクトオープン(上)/クローズ(下)時のCSD(ソノグラム表示)比較


エアダクトを閉じると、500Hz以下の低域が僅かに遅れ(といってもたったの0.2msec程度ですが・・・背圧のせいかしらん?)
内部反射がより目だっているように見える。(時間の経過に従って0.2msec強で周期的な音圧が上下している)
共鳴器を塞いでいることになるので、2kHz前後のレゾナンスの様子が単純になっている感じもアリ。


【グラフ3】JET IMX-1のインピーダンス

概ね18Ω程度で比較的フラット。Fsは3.3kHzといったところかしらん。
2つめの5.3kHzあたりのピークはチャンバーによるものでせうか?・・・


あと意外にオープン/クローズで差はでませんね。なぜかしらちょっと残念。



・・・・ということで、脈動効果の
謎は放置ですが、今回はこんなところでオシマイです。

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