FOSTEX T50RP
(2009/10/25新規作成)>(2009/10/26一部たわごとを削除、写真追加)
今時珍しい全面駆動型のヘッドホン。FOSTEXでは「RP」(Regular Phase)と呼んでいる様子で、ラウドスピーカー用のツィーターなんかも出てますね。
【写真1】T50RP外観
イヤパッドがふっくらツヤツヤしたマイナーチェンジ後のタイプ。
マイナーチェンジ前のパッドはシワシワであんまり感触が良くありませんでした。
詳しくはこの辺参照。
俺感想: <省略> |
【グラフ1】インピーダンス:FOSTEX T50RP
左:0〜100Ωレンジ(非装着時)、 右:部分拡大46〜56Ωレンジ(装着時/非装着時)
DC抵抗53ohm程度、F0は装着時で110Hz付近、HiFiMAN HE-5同様にピークが低すぎてQ値が正確に計算出来ません。
T50RPは「ダンプドセミオープン」とのことなので、HiFiMAN HE-5よりもさらにインピーダンス/位相共に非常にフラット。
(「ダンプド」というのは具体的何をしているのかは良く分かりませんが)
【グラフ2-A】周波数特性:T50RP vs HD650
重心が低域寄りのカマボコ傾向に見えます。
T50RPは2kHz以上の高域が落ちすぎに見えます。(10kHzあたりはピークがありますが・・・)
特に12kHz以上の高域が何故にここまで音圧低下しているのかが謎。・・・俺測定方法がマズイのか?
低域は60Hz辺りまでは頑張っているので、GRADOなんかの例もありますしそれほど酷くはないと思います。
しかし60Hz以下の音圧の落ち込みようは自分にはちょっと謎です。
【グラフ3-B】周波数特性:T50RP vs HiFiMAN HE-5
オルソ対決。・・・T50RP地味だなあ。
だが、それがいい!って人もいるとは思われ。個人的にもそんなに悪いとは思わないんだけど・・。
適当謎コラム:オルソダイナミックってどんなよ? 何はなくともPRダイヤフラムの説明はココ参照。 以下は駄文! <オルソダイナミック型の概要> オルソダイナミック型(英語の教科書ではisodynamicと書かれる場合の方が圧倒的に多い。) ポリイミドなどの薄い樹脂フィルムにアルミまたは銅箔エッチング(※注1)を施してコイルを形成した振動板を用い、棒状のネオジウム磁石(※注2)を反発するように対向させたペアを数列並べ、この磁界中でコイルに電流を流すことで、振動コイルと一体となった振動板は各部でin-phaseで駆動されるから、全面駆動されますよ、ということらしいです。資料丸写しですけどね。 ただし!隣り合う棒状マグネットでは磁場の向きは逆向きになっているので、コイルが同じ向きのローレンツ力を受けるためには、棒状マグネットの間隔をまたぐ度にコイルの向きが逆転するようにしています(当然ながらRPシリーズも、HE-5もそうなってます)。 (※1)一般的には、軽量化のためエッチングに銅よりもアルミを用いる事が多いようです。なぜなら、電気伝導率でいえばアルミは銅の57%程度しかないのですが、比重が銅の32%程度と軽いため、銅の56%程度の重さで同じ導電性を確保出来るためです。 (※2)古いヘッドホンでは、磁石を円盤状に形成して(穴あきのワッフルのよう!)、これを対向させて磁場を形成していたようですが、最近はあまりこのタイプは見られない様子・・・ですが、自信はないのでもしあったら教えてください。 <FOSTEX T50RPの工夫> FOSTEXのRPシリーズの振動板では、さらに一工夫してコイルをジグザグにして、振動板の縦横方向の動きをより均一にする、という工夫をしているようです。(カタログ資料には4kHz近辺の音圧のヘコミを改善しているグラフあり) <オルソダイナミック型とダイナミック型(ムービング・コイル型)の一般的な特徴について> 「典型的な値」として資料(※資料1)に載っていた値を記します。
これを見ると、オルソダイナミック型は、振動系は軽く出来て、振動板の有効面積も広いのは良いのですが、 磁束密度がmoving-coil型よりずっと低く、同じ強さの磁石を使った場合にmoving-coil型よりも能率の点で劣ることが分かる ・・・ような気がします。少なくとも振動板が動く範囲は対向する磁石の間隔が必要なわけで、ムービングコイル型よりも磁束密度が低く能率が低くなるのは原理的に仕方なさそうです。 オルソダイナミック型の一般的なメリットとしては、高域での分割振動が比較的少ないであろう点、 振動板の機械的なインピーダンスが低いため、さほどの工夫なしに低域でフラットなレスポンスを得やすい点、などが挙げられましょう。 で?なんでオルソダイナミック型は絶滅寸前なのか? ・・・という点については自分はよく分かりません。どなたか教えてくだちい。 |