HiFiMAN HE-5
(2009/10/23新規作成)

今時ちょっぴり珍しい、FOSTEX RPシリーズ(Regular Phase:全面駆動型)と同様な構造のオルソダイナミック型ドライバのヘッドホン。
「HiFiMAN」・・・。
名前がちょっと珍妙な感じがしますけれど、出来はなかなか良いものと思われ。


【写真1】HE-5外観

左はFOSTEX T50RP同じオルソですが、セミオープンなT50RPと比べると、見た目も音も開放感はHE-5が圧倒的。
っていうか開放的すぎて音漏れ多すぎ。
プラグはノイトリックのステレオ標準(6.3mm)NP3X-B。



磁気回路はRPシリーズと類似の様子でマグネットは棒状であり、よって振動板のプリンテッドコイルのパターンはマグネットと平行に上下に直線状に走っている。(【写真2-A】、【写真2-B】)
【参考URL】The "Inside" of T50RP

【写真2-A】イヤパッド側から見たドライバー 【写真2-B】背面メッシュ側から見たドライバー

外側から、ヨーク(+音を通過させるための多数の穴あり)、縦方向に数本の棒状のマグネット(ヨークの列の数からするとマグネットは5本×2かしらん?ちなみにFOSTEX T50RPでは3本×2すね)、ダンパーと思われる非常に目の細かいメッシュ、(見づらいが)中央部にアルミのコイルパターンを持つ振動板・・・だと思われ
どこのドライバーなんでしょうか?コレ。


俺感想:

・作り/質感:
普通〜やや良い。ただし
GRADOっぽい民芸品風な手作り感であり、仔細に見ると接着剤がハウジングに少し付着していたり、木の仕上げなどもさほど良くない。よって高級感というのには若干抵抗はあるが、実用的な機能については大きな問題は見当たらないように見えるのでまあ良いか!、といったところ。
スライダーは無段階で動きは比較的滑らかなのは良い。スライド量は普通程度だが全体的にどちらかといえばヘッドバンドは短めの傾向。自分の場合8割程度スライダーを伸ばして適量。ケーブルのコネクタは高周波の通信で使いそうなミニの同軸コネクタで、ネジ止め式で着脱は楽だがHD800程ではない。ケーブル線は拠り線状になっており特に太くは無いが、かなり硬い。

・装着感:
側圧は普通程度。
若干重さを感じる。
(Head-Directに記載のスペックではケーブルを除いて重さ450g。精度±1gのデジタルスケールで計量するとケーブルを取り外した状態で
実測473gとそれなりに重い。ちなみにHD800を同様に計量すると372gであり重い部類だと思うが、HE-5はHD800よりもさらに100g(27%)程重いことになる。)
ヘッドバンドはGRADOと同じように皮だが、裏側は柔らかめの皮で、かつ面積も大きいこともあり、この重さにしては頭頂部の圧迫感は普通程度。イヤパッドはK701のように、パッドの前後側で厚みが異なり傾斜がつけられている(前側が少し薄くなっている)。また、さほど肌と完全に密着せず(これもK701のように)若干隙間が空く感じあり。

・音:
 ・全体:僅かにドンシャリ気味に感じるが、低音〜高域までかなりフラット。
     音圧の山谷その他特に大きなクセは感じない(僅かに中高域に強調感は感じるが)。
     T50RPのようなカマボコ風のバランスではない。どちらかというと地味というよりは派手&パワフルな音調に感じる。
     音場についてそれなりに広く感じる点も美点か。
 ・低域:ローエンドの伸びはかなり良い。バスドラムの重さは普通〜わずかに多いか?という程度。
     ベースも同様。低音の量が多い際にありがちな高域への歪みの影響は殆ど全く感じなくかなり正確な印象。
 ・中域:わずかにボーカルは大人しめに感じるが、通常気になる程ではない程度。その一方で歯擦音はわずかにキツさを感じる。
 ・高域:中高域にわずかにピーキーさあり(このため僅かにボーカルの歯擦音にキツさあり)。アコースティックギターはかなり自然に聞こえる。
     トランペットはどちらかというと派手な方だが、キツいとまでは言えず鮮やかさは
     なかなか良い。シンバル類も若干派手目で録音によってはやや煩さあり。金属感の表現は良好な部類。スネアの粒状感も良好。
     ハイエンドの伸びは良好な印象。

・その他特記事項:
 ・
音漏れは極めて大きい。ドライバ背面をさえぎるものはスカスカのメッシュのみであり、完全にダダ漏れと思われ。
 ・
音量が非常に取りづらい。スペック値でも「87 dB, 1 mW」であまり良くはないが、ボリューム位置はHD650よりも3〜5dB分高くする必要があり
  ipodでは比較的録音レベルの高いポップスでもボリュームは80〜90%程度必要と思われ。
  SONYのX1060ならボリュームMAXでもちょっと足りないかも。



【グラフ1】インピーダンス(非装着時)
左:0〜50Ωレンジ、 右:部分拡大22〜27Ωレンジ

DC抵抗24.4ohm、F0は81Hz付近で24.9ohm、あまりに強力にダンプされているのでQ値が正確に計算出来ません・・・(汗)
HE-5のドライバ背面は極めて開放的であるにも関わらず、インピーダンス/位相共に非常にフラット。
オルソダイナミックは概ねこのようなフラットな傾向のインピーダンス特性となるようです。


【グラフ2】HiFiMAN HE-5 vs HD650
赤:HE-5、灰色:HD650


かなりフラット。全帯域で概ね±5dBというのはなかなか立派な感じ。
2kHz前後が僅かに音圧が低いが(ボーカルは僅かに大人しそうっすね)、4kHz前後のピークがあるのでバランスは悪くない印象。

ボーカルの歯擦音の若干のキツさはこの4kHz前後のピークによるものでせうか。



【グラフ3】周波数特性:HiFiMAN HE-5 vs FOSTEX T50RP (2009/10/25追加)
※注:HE-5は再測定シテマスので微妙に上のグラフと違ってますが気にしないでください。
赤:HE-5、灰色:FOSTEX T50RP

オルソ対決。特に言うことなし!


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